「緊急対応!相模原市獣医師会の多頭飼育崩壊への取り組み」

2023年11月に、相模原市内で猫の多頭飼育崩壊が発生しました。この深刻な問題に対処するため、相模原市獣医師会は、相模原市、ボランティア団体、そして民間企業と連携し、緊急の対応を行いました。この記事では、何が起きたのか、多頭飼育崩壊とは何か、そして我々がどのように協力して対応したのかについて詳しく紹介します。

多頭飼育崩壊

何が起きたか?

2023年11月、相模原市内で猫の多頭飼育崩壊が発生しました。行政とボランティア団体は、多頭飼育崩壊現場から3日間で全69頭を保護しました。ほぼ全頭で、ノミの寄生がみられ、強い匂いが体に染み付いている状態。全頭に血液検査と全身のシャンプー、ノミ取りの処置を初期医療として実施しました。また、60頭の成猫のうち、45頭は、当会で会員動物病院へ搬送し不妊手術を実施、15頭は麻布大学にてStudent doctorによる不妊手術を実施しました。Student doctorは、いわゆる「獣医師免許の仮免」と呼ばれ、試験をパスした学生たちです。獣医師としてのスキルを磨くため、今回の猫たちの不妊手術を担当していただきました。

手術を実施した猫たちの一部は会員動物病院にて、保護・馴化(人馴れのトレーニングをすること)を行いました。動物病院スタッフからたくさんチュールをもらったり、愛情をたっぷり注いでもらいました。さらに、一部の猫達は、Student doctorのご自宅で保護・馴化をしていただくこととなり、術後の経過に加えて、初めて猫と暮らす学生さんたちもいらっしゃったとのことで、貴重な経験となったのではないでしょうか。

そして、12月9日に相模原市主催の緊急譲渡会が、エコパークさがみはらにて開かれ、113名57組の里親希望者に参加していただき、44頭の里親が決まりました。緊急譲渡会には、市の登録ボランティア、市民サポーターのみなさん、保健所職員の皆さんによって運営され、多くの猫たちが緊張の中、新しい家族を探すため頑張りました。

本取り組みは、行政と地域獣医師会、ボランティア団体、民間企業と市民サポーターが一体となって活動できたことによるもので、保護開始から約1ヶ月で譲渡会まで完了したことも、全国的にも稀な素晴らしい取り組みでした。

民間企業による支援もありました

今回の多頭飼育崩壊の状況に合わせて、当会賛助会員の企業様から支援をいただくこととなりました。初期医療に使用するウイルス検査キットの提供を、富士フィルムVETシステムズ様、IDEXXラボラトリーズ様より、キャットフードの提供を日本ヒルズ・コルゲート様よりご提供いただきました。この場をお借りして、感謝申し上げます。

まとめ

多頭飼育崩壊に対する当会の取り組みは、行政、ボランティア団体、民間企業、市民サポーターの協力によって成功しました。未然に防ぐことも重要ですが、発生時に迅速に対応することも大切です。相模原市獣医師会は、会員病院と企業賛助会員の協力により、社会課題解決に向けて、社会貢献を続けていきます。多頭飼育崩壊の問題を根本的に解決するために、地域社会と連携し、ペットの福祉を守るために努力を続けてまいります。

本村賢太郎相模原市長より獣医師会へお礼状を頂戴しました。

市長から感謝状